モルタル外壁(スタッコやリシン)と外壁木部の経年劣化のスピードをガルバリウムのサイディングで緩和させる

「モルタルの外壁の経年劣化によって汚れも目立ち、木部の塗装も剥がれて来ている。全体的に綺麗にしてほしい。」というお客様からのご要望にお応えいたしました。

外壁サイディング施工前
外壁サイディング施工前
外壁サイディング施工後
外壁サイディング施工後

まず、モルタルの外壁のメンテナンスの一つとして「塗装の塗り直し」という方法があります。再塗装の場合、「スタッコ」でだいたい10年、「リシン」では7年~8年に1度は必要とされています。

しかし、塗装の場合は経年とともに、壁に「クラック」と呼ばれる「亀裂」が生じたり、木部に関しては塗装が剥がれた状態が続くとそこが雨ざらしになり、木部が腐り劣化が進行してしまう場合があります。

クラック補修を行っても、補修部分は平面より若干膨らんだ収まりになってしまったり、補修しても経年と共にまたクラックが発生してしまう事があります。

木部の塗装が剥がれた状態で雨風に晒された状態が続き、元の木の劣化が進行してしまうと、木部の表面がガビガビになって行き塗装も綺麗に乗らず、完全に腐ってしまった状態になると強度も無くなり、金物を固定する事も出来なくなり、全てを交換しなければ対応できない事案も出てきてしまいます。

モルタル外壁の「スタッコ」や「リシン」の場合、表面の凹凸も粗いので汚れが目立ってきたりもします。日の当たりづらい北面などは苔が生えたりして、壁の一部が緑がかってきたりもします。

日当たりの少ない北面のモルタル外壁は苔などが付着しやすい
日当たりの少ない北面のモルタル外壁は苔などが付着しやすい

そこで今回のお客様から、「塗装しようと思うんだけど、どうかな?」とのご相談もありましたので、ずばり「外壁サイディングの増し貼り」をお勧め致しました。

今回のお客様の外壁はクラックもありますが、木部の傷みがあり、塗装修繕で行った場合、塗装のコーティング力が低下して、最終的には木部を交換しなければいけなくなる状況がいずれ訪れる予想がつきました。木部には雨戸の戸袋や垂木、破風板、モヤ角など多数ございますが、破風板や鼻隠し、戸袋の損傷は傷みやすく、一度進んでしまうと、耐久性としては元には戻りません。塗装でコーティングしても元の部分が弱くなってしまっているので塗装だけではカバーしきれないのです。

破風板や雨戸の戸袋の塗装の剥がれ
破風板や雨戸の戸袋の塗装の剥がれ

現状の経年劣化の進行速度を遅らせる事がお客様にとっての最善の方法と思い、「外壁サイディングの増し貼り」をお勧め致しました。

外壁のガルバリウム鋼板でのサイディングは基本的にはメンテナンスフリーです。耐久年数を見越しても20年~30年は持つと言われております。今回は既存の建物の外壁の耐久をそのままにサイディングを被せる事により、破風板や戸袋の劣化の進行を遅らせ、汚れづらい表面になり、断熱効果、遮音効果も増します。

以下、施工時の記録写真です。

外壁面の木枠の窓枠などを強度のあるガルバリウム鋼板を使用して板金加工します。
外壁面の木枠の窓枠などを強度のあるガルバリウム鋼板を使用して板金加工します。
築年数の多い家には窓枠が木部の場合も多く、サイディングをする場合は囲う事で外面の隙間も無くなり、外壁の質感とのバランスも取れ、サイディング施工が可能となります。
築年数の多い家には窓枠が木部の場合も多く、サイディングをする場合は囲う事で外面の隙間も無くなり、外壁の質感とのバランスも取れ、サイディング施工が可能となります。
窓の上の霧除け庇も加工します。
左に見える雨戸の木部の戸袋は後でサイディングですっぽりと囲います。
そうする事で、外部からの劣化を防ぎ、デザインも纏まります。
窓の上の霧除け庇も加工します。
左に見える雨戸の木部の戸袋は後でサイディングですっぽりと囲います。
そうする事で、外部からの劣化を防ぎ、デザインも纏まります。
既存のエアコンの室外機に繋がっている配管などもそのままで施工できます。
既存のエアコンの室外機に繋がっている配管などもそのままで施工できます。
既存のモルタル外壁の上に等間隔で下地材を施工していきます。
既存のモルタル外壁の上に等間隔で下地材を施工していきます。
既存の外壁モルタル部分のクラック等もしっかりと補修していきます。
既存の外壁モルタル部分のクラック等もしっかりと補修していきます。
下地材の胴縁と胴縁との間の空気の流れを遮断させない様に通気層の隙間を設けます。
この隙間がないと外壁外面から太陽によって温められた空気が滞ってしまい、上部まで登って行けず熱を放出できなくなります。場合によっては結露を生み出し部材を傷めてしまいます。
あえて隙間を作るのは手抜きではなく、外壁内の通気を確保するためなのです。
「通気工法」と呼ばれています。
下地材の胴縁と胴縁との間の空気の流れを遮断させない様に通気層の隙間を設けます。
この隙間がないと外壁外面から太陽によって温められた空気が滞ってしまい、上部まで登って行けず熱を放出できなくなります。場合によっては結露を生み出し部材を傷めてしまいます。
あえて隙間を作るのは手抜きではなく、外壁内の通気を確保するためなのです。
「通気工法」と呼ばれています。
ちなみに外壁内部の熱で温まった空気が上昇すると壁面と屋根の境目に細かい隙間の空いた「通気見切り」があるので、ここで温まった空気が外部へ抜けていきます。
ちなみに外壁内部の熱で温まった空気が上昇すると壁面と屋根の境目に細かい隙間の空いた「通気見切り」があるので、ここで温まった空気が外部へ抜けていきます。
下部に水切りを施工します。
下部に水切りを施工します。
サイディングを下から上へとはめ込んでいきます。
サイディングを下から上へとはめ込んでいきます。
ガルバリウムの外壁は薄い上に頑丈で施工も加工も行い易いです。
出隅や入隅は専用の役物でしっかり押さえ、隙間はきっちりとコーキング致します。
ガルバリウムの外壁は薄い上に頑丈で施工も加工も行い易いです。
出隅や入隅は専用の役物でしっかり押さえ、隙間はきっちりとコーキング致します。
木部の支柱などもデザインを統一させたい場合は、この様にサイディングで囲う事も可能です。
木部の支柱などもデザインを統一させたい場合は、この様にサイディングで囲う事も可能です。
細かな所もきっちり納められます。(右上角コーキング前の状態です)
※外壁内に全て収めて隠したい所ですが、配管等を隠してしまうとメンテナンスが出来なくなるため、既存の配管や配線は外壁面に這わせて施工致します。
細かな所もきっちり納められます。(右上角コーキング前の状態です)
※外壁内に全て収めて隠したい所ですが、配管等を隠してしまうとメンテナンスが出来なくなるため、既存の配管や配線は外壁面に這わせて施工致します。

以下、施工前と施工後の全体写真です。

正面となる南面施工前
正面となる南面施工前
南面施工後
玄関部の1F部分の一部屋はアクセントとして全体色とは違う色に致しました。
サイディングの良い所の一つは柄や色を部分で変える事が容易にできる所です。
南面施工後
玄関部の1F部分の一部屋はアクセントとして全体色とは違う色に致しました。
サイディングの良い所の一つは柄や色を部分で変える事が容易にできる所です。
玄関屋根の破風板は塗装が剥がれ木部も傷み始めて来てしまっていました。
玄関屋根の破風板は塗装が剥がれ木部も傷み始めて来てしまっていました。
破風板に板金を巻いたので今後外部からの劣化が抑えられ、外壁との収まりも良くなりました。
破風板に板金を巻いたので今後外部からの劣化が抑えられ、外壁との収まりも良くなりました。
西面施工前
西面施工前
西面施工後
西面施工後
北面施工前
北面施工前
北面施工後
北面の苔も無くなり、明るくなりました。
北面施工後
北面の苔も無くなり、明るくなりました。
東面施工前
東面施工前
東面施工後
2Fの木部だった雨戸の戸袋もすっぽりサイディングで覆われ綺麗に纏まっております。
東面施工後
2Fの木部だった雨戸の戸袋もすっぽりサイディングで覆われ綺麗に纏まっております。
玄関部施工前
玄関部施工前
玄関施工後
玄関施工後

いかがだったでしょうか。

今回の外壁サイディングですが、新築とは違い、既存の壁の上に増し貼りする施工でしたので、既存の物との接続部分でいくつか注意点がありました。

外壁サイディングを施しても既存の部分が見える箇所(軒天、モヤ角、雨樋、木部面格子、雨戸、屋根、玄関木部ドアなど)の経年変化している物との差が出ます。
ですので、外壁をサイディングでリノベーションする事で建物の耐久性の向上は図れますが、やはり家の外部全体を考えますと細部の塗装や交換なども必要になってくると思います。
外壁の大部分が新しくなって綺麗になると、やはり「その周りも一緒に綺麗にしないとバランスが悪い。」と思うのが我が家を愛し、大切にしているお客様の至極当然なお気持ちだと思いますので。
サイディング外壁の増し貼りをお考えのお客様。細部の塗装や交換も併せてお考えいただいた方が、家全体がまとまると思います。
勿論ご予算の都合もありますので、色々とご相談を重ねていただき、ご納得いただいた上で、最終的なご判断をしていただけたらと思っております。

外壁サイディングのお問い合わせ、心よりお待ちしております。

お気軽にご相談下さいませ。